近年の起業ブームの中でにわかに注目が集まっているのが、資金調達のギャップを埋める「エンジェル投資家」です。このエンジェル投資家とは、どのような性格の投資家なのでしょうか。今回は、エンジェル投資家と呼ばれる人々とその特徴、エンジェル投資家のメリットとデメリットについて見てみましょう。
エンジェル投資家とはなにか
エンジェル投資家(エンジェル)とは、創業から間もない企業や個人に対して、資金を供給する富裕な個人投資家のことを言います。基本的にエンジェル投資家は個人で審査から融資までをおこないますが、近年ではエンジェル投資家同士で小規模なグループを形成して情報の共有や共同出資をおこなう動きも見られます。ベンチャー企業や個人に出資するエンジェル投資家は、個人で数千万円から数億円の出資をおこなうために、家族・親類・友人とベンチャーキャピタルの間に存在する資金供給の隙間を埋めて急成長が期待できるベンチャー企業や個人に対する資金供給者として重要な役割を果たしています。
エンジェル投資家の投資対象に占める割合が多い分野としては、ヘルスケアと医療機器がもっとも多く、次いでソフトウェアなどのITとバイオテクノロジーとなっています。これらの分野に限らずベンチャー企業や個人は事業が成長すれば極めて大きなリターンを生みますが、リターンを生むまで存続するベンチャー企業や個人はごく少数であるため、ハイリスク・ハイリターンな投資方法です。
このようにエンジェル投資家は極めて高いリスクを個人で引き受けることになるので、それに見合う高い投資収益を求めてより、リターンの高い事業や製品に注力する傾向があります。そのため、エンジェル投資家の投資案件の傾向としては、初期投資の10倍以上の収益が5年以内で生じることが期待できる利回りの良い投資案件が多いという傾向があげられます。投資した資金の回収方法としては、一般的に融資時に受け取った株式の公開や、ある程度成長したところでの他社による企業買収があげられます。エンジェル投資家の多くは引退した起業家や経営者、十分な個人資産を持つ富裕層であり、既に十分な資産を持っていることから純粋な経済的追求は二の次にして、社会的貢献など様々な理由で投資をはじめることが多いと言われています。
エンジェル投資家から出資を受けるためには
このように身内からの融資とベンチャーキャピタルの隙間を埋めるエンジェル投資家ですが、日本ではそれほど一般的な投資業ではなく、出資を受けるのは容易なことではありません。日本で著名なエンジェル投資家であれば毎日ひっきりなしに出資依頼があるため、初対面で出資にこぎつけることはまず不可能と言えます。エンジェル投資家の出資を受けるためには、人脈に頼ることが欠かせません。そのためには積極的にカンファレンスや会合、パーティーに出席して顔を売る必要があります。
このような顔つなぎが煩わしいと感じるベンチャー側とエンジェル投資家側の利害が一致したことで、近年ではウェブ上でのマッチングサイトも人気を集めています。
エンジェル投資家からの出資を受けるためには、これらの手法を駆使して出資してくれるエンジェル投資家を自力で探しだし、事業のプレゼンテーションをおこない、出資を求める必要があります。
おわりに
このようにベンチャー企業や個人にとって欠かせない存在となりつつあるエンジェル投資家ですが、発祥の地であるアメリカと異なり、日本ではあまり活発とは言えません。
そのため、税制上の優遇などの様々な特典によってエンジェル投資家を増やそうとしているのが現状です。
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