独立して飲食店を開業するときには店舗としての体裁を整えるための設備投資が欠かせませんが、その他に安定した店舗運営のためにある程度の運転資金を準備する必要があります。そこで気になるのが、安定経営のための運転資金には、どの程度の金額を用意すればよいのか?ということです。今回は、飲食店を経営する場合に必要になる運転資金は、どの程度が妥当かを考えてみましょう。
飲食店経営の運転資金の目安はどの程度か?
わりと手軽に開業できるとしてしられる飲食店ですが、開業初心者のよくある質問として「運転資金はどの程度用意すればよいのか?」というのがあります。「3ヶ月程度を見ておけばよい」とか「日銭商売だから運転資金はいらない」など様々な意見があり、この質問には明確な回答が存在しないと言えます。
飲食店経営は提供した商品(食事)の代金を現金で受け取るため、一般的な掛け売りのビジネスと比べるとキャッシュフローの観点から見ると資金繰りでは優位な立場にあるので、運転資金は少なくてもよいと考えたくなりますが、ここで政策金融公庫が集計・発表した飲食店経営が軌道に乗るまでの時期のアンケートを見てみましょう。
飲食店経営が軌道に乗るまでにかかった期間として
- 3ヶ月未満…26.1%
- 3ヶ月以上6ヶ月未満…10.1%
- 6ヶ月以上1年未満…28.2%
- 1年以上2年未満…19.1%
以上のように、半数程度の飲食店で経営が安定するまでには6ヶ月以上の時間がかかっていると独自調べでわかりました。
安定経営を考えるのであれば、運転資金は少なくとも「開業から3ヶ月から半年程度」を確保しておくことが目安となりそうです。ただし、実際に運転資金を調達するときには全額を融資でまかなうことは現実的ではありません。6ヶ月程度の運転資金のうち、3ヶ月程度は自己資金でまかない、残る3ヶ月分について融資を受けることを検討するのが現実的と言えます。
飲食店起業の融資先はどこが有力か?
目安の運転資金として6ヶ月程度が必要であり、そのうちの3ヶ月分を自己資金で調達する場合、残る3ヶ月分については融資を求めることになります。融資を求める先としては、どこが有力でしょうか。
キャッシュフローが良好であることからも分かるように、飲食店経営で必要となるのは「スピード感」です。融資の決定から実行まであまり時間がかかると開店時期が後ろ倒しになり、現金(日銭)商売である飲食店経営では開店が遅れた分だけ利益を逃すことになります。
特にかきいれどきに開店時期がずれ込むと、現金商売であるだけ経営に与えるダメージは大きく、あっという間に1ヶ月分の運転資金分の利益を失うことにもなりかねません。そのため、飲食店経営の融資先を求めるときにもスピード感は要求されるのです。
スピード感という観点から融資先を検討すると、もっとも有力な候補となるのが日本政策金融公庫の「公庫融資」があげられます。飲食店開業で公庫融資を活用する場合、「中小企業経営強力化資金」を利用すれば、計画書の作成から融資審査の結果まで2週間から1ヶ月程度と、比較的短期間で済むのが特徴です。
もう1つ有力な候補としては、同じ日本政策金融公庫の「制度融資」があります。制度融資では都道府県や市区町村によって制度の優遇内容が設定されていて、その内容が千差万別であるという特徴があります。
もちろん、日本政策金融公庫以外にもメガバンクや地方銀行、信用金庫による融資商品が設定されているので、これらの融資商品の借入条件を比較・検討することでどこから融資を受けることがもっとも有利であるかはキチンと考える必要があります。
おわりに
スピード感がかかせないとされる飲食店経営では、運転資金1つをとっても様々な考えかたがあります。条件によって必要となる運転資金は異なるため、その決定には慎重になる必要がありますが、飲食店での起業を考えている人はここにあげた条件を参考にして考えてみてください。
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