東京一極集中とその弊害が叫ばれて久しい昨今、UターンやIターンにより地方に住まいを移すことが推奨されています。そのために各地方自治体では、制度面や金銭面などの様々な面で起業支援をおこなっています。
今回は地方自治体による起業支援制度や融資制度について見てみましょう。
欧米に比べて半分程度の日本の開業率
日本の開業率は4.9%と欧米の半分程度にとどまっており、特に大都市圏以外の29府県が平均を下回り、地方の開業率は低迷しています。また、中小企業の総数の推移を見てみると、平成11年の484万社から平成26年の381万社と15年で約100万社も減少し、雇用のもっとも大きなパイを占める中小企業の減少は社会全体の大きな問題ともなっています。
こうした状況の中で国力・産業振興のために策定された経済産業省の施策でも、開業率・廃業率を欧米並みの水準まで引き上げることを目標としています。この目標を実現するために制定された「産業競争力強化法」では、地方での創業を促進させるために市区町村が地方事業者と連携して創業支援をおこなうことをうたっています。
具体的な施策としては、都道府県レベルで設置する支援拠点をはじめ、市区町村レベルでの創業準備者や創業後5年未満の経営者に対するスキルアップ研修や専門家による支援など、様々な施策を打ち出していますが、その中の1つとして各種補助金の存在があります。
開業率向上のための各種補助金制度
このように開業率向上のために制定された産業競争力支援法の一部として、補助金が設定されています。開業者にもっとも身近な補助金としては、創業・第二創業促進補助金があげられます。これは、新規開業にかかる人件費や設備投資、賃借料などの様々な必要経費に対して補助対象となる経費の3分の2までの金額を、100万円から200万円の範囲内で補助金を拠出する仕組みです。
各地方自治体の資金援助
国レベルではこのような施策が制定・実行されていますが、地方自治体レベルではどのような施策が制定・実施されているのでしょうか。東京を例に見てみましょう。東京レベルでおこなう開業資金の融資はいくつかありますが、そのなかでもっとも一般的と言われているのが東京商工会議所のおこなう「創業支援融資保証制度」があげられます。これは融資希望額と同額の自己資金があり、起業に関する具体的な計画や許認可を受諾済みで、事業を営んでいない個人もしくは創業5年未満の法人または個人のうち、東京商工会議所の創業計画審査会で認定書を受け取ったか創業ゼミナールを受講して修了証を授与された人が申し込める融資制度であり、2,500万円までを原則無担保で借りられる仕組みです。
創業支援融資保証制度では創業資金の援助だけではなく、東京商工会議所が起業計画書の作成から起業後のフォローアップまでを支援することで、5年で90%とも言われる開業後の廃業率を乗り越えて、長く企業が続くようにフォローアップを実施しています。この他の資金援助としては、信用保証協会・民間金融機関との協調で実施する「融資制度資金調達」など、様々な融資制度が存在します。
おわりに
国レベルで起業率の底上げを図るために制度面や資金面での様々な補助制度が設定されていますが、実際に起業する人にもっとも身近な公的機関は都道府県レベルでの商工会議所や地方自治体の起業セミナーです。
特に都道府県の商工会議所は起業支援の経験が豊富であり、起業を考えている人には有力な支援が期待できるでしょう。
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